自然写真家・栗田貞多男の撮影日記

Sadao kurita Photography Diary


JPS(日本写真家協会)自然写真家・栗田貞多男の信州の四季の撮影記録を綴ります。
(写真の無断使用はかたく禁じます)

厳冬・上高地、撮影紀行

真冬の上高地。白銀に輝く穂高連峰、霧氷に覆われる大正池や田代池。清涼な梓川....。数えあげれば、その魅力に限りありません。

 

しかも近年は安房トンネルの開通により、釜トンネル入口までは年間を通して車輌通行可能なため、日帰りで訪れる写真愛好家やファミリーハイカーも増えました。

 

これは誰でも上高地の魅力を実感できることで良いことなのですが、反面かつての神秘・神聖な神河内が失われてゆきつつあり、寂しくも思います。

 

初めて冬の上高地を訪れたのは、40年ほど前。

当時は沢渡から撮影用具一式を小さな引きゾリに固定し、大正池まで6時間以上かけて辿りつきました。

翌朝、大正池はすべてが白く装い、湖面には無数の霧氷の結晶。その清澄な美しに、ひたすらシャッターをきりました....。

近年、温暖化のせいか、そのようなシーンには出会えません。静寂そのもの、いっさいの人の気配もなかった冬の上高地は、もはや出会うことはできません。

 

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新雪穂高連峰と霧氷

 

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大気中の水分が湖上や枝先に付着結氷する

浅間山、朝焼けに染まる

長野・群馬両県に裾野を広げる浅間山

たおやかなその姿は地域のシンボルであり、四季の移り変わりを物語ってくれます。

 

真冬、雪化粧した浅間山の朝焼けを撮るべく、夜明け前の鬼押出しルートの最高地点に到着...。寒風の只中、日の出を待ちます。

 

そして山頂に朝陽が!!

感動の瞬間。

 

刻々と変わるシーンに、ひたすらシャッターを切る。

気がついたらミントの下の指はほとんどかじかんでいました。

山頂上空には残月もくっきり。

 

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里山の情景 冬越しの薪

初冬、信州の山里を走っていると時々、畑や道の脇に積まれている薪に出会います。

 

この薪で一冬を暖かく過ごすのでしょうか。

 

我が家の小さな薪ストーブだと一日、くべて(これは信州・北信濃の方言かも・・火に入れる)いればおよそ一束ほど使いますが、その計算でいけば、ちょうど一冬分には当てはまりそう!

 

いすれにしても、雪を冠った薪を見つけてうれしくなりました。

おそらくはミズナラの薪......。

これは信州では最高の薪で、火力も強くじっくりと燃え、薪ストーブの上にシチュー鍋でも置いておけば、これはもう言うまでもなく.....。

 

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謹賀新年 南アルプス御来光

明けましておめでとうございます。

今年は良い天気が続き、良い写真が撮れますよう!!

 

正月らしく、ブログの第一弾は、御来光にて。

撮影場所は、中央アルプス千畳敷カールから。ここは駒ヶ根市内からバス・ゴンドラを乗り継いで、山頂駅まで誰でもたどり着けます。

そのうえ、山頂駅がそのまま宿泊ホテルになっていて、部屋も食事も立派なホテル並み。

 

さらに正月の数日間は、はるか東に連なる南アルプス連山のほぼ真ん中、そのさらに彼方に姿を見せる富士山山頂付近から御来光という、夢のようなシーンに出会えます。

 

あとは天気次第。防寒具とカメラのよびバッテリーもお忘れなく。

人気スポットとあって予約も早めに!

 

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御来光のすぐ右手には富士山

 

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千畳敷の雪原も赤く染まる

 

北アルプス・槍ヶ岳を突き差す落日のドラマ

いよいよ、というよりはあっという間の年の瀬となってしまいました。

本年最後のブログ....ということで、最も印象的な落日シーンをご覧ください。

 

 

長野市から直線距離にして約100キロメートル。

北アルプス槍ヶ岳は、はるか南西方向に小さく望めます。その槍ヶ岳の突峰に晩秋11月、落日が突き刺さります。

なんともドラマチックなシーン...。300ミリ以上の超望遠レンズ付き一眼レフなら見事なシーンが撮れます。

 

 

おすすめの撮影ポイントは菅平高原峰ノ原が有名ですが、長野市内各地でも探せばいくつも好ポイントがあります。

例年、11月5日頃から。落日の時間はPM4:30頃から。

来秋はぜひチャレンジされてみては!!

では、1分足らずのドラマチックシーンをお歳暮代わりにどうぞ。

 

 

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初冬の小さなシーン、霜と落葉

凍えるような里山の朝、小道にはコナラやさまざまな木々の落葉が霜をつけています。

 

特に目立つのは、ミズナラの葉。

ノコギリの大きな刃のような形が霜にフチ取られて一層はっきりします。

まだ緑色の小さな下草もそれなりに、皆、白く装おっています。

撮りだせば、切りがありません。

 

こんなシーンだけでミニ写真集づくりもおもしろいのでは!!

 

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ミズナラの落葉。葉柄から葉先まで10センチくらいと大きめ。

標高800m以上の高原山地に多い。

 

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日陰の落葉。

フローズン状態だが日が当たれば1時間足らずで霜も消える。

国蝶・オオムラサキ 越冬幼虫調査(長野市松代)

一ヶ月近く過ぎてしまいましたが、長野市郊外の松代の里山で、オオムラサキ越冬幼虫の調査を地元の方々主催にて行い、私も参加しました。

 

期日は11月24日。長野県北部、標高約300メートルのこの地では、ちょうどこの頃直前に一気に寒くなり、オオムラサキ幼虫も食樹エノキから一晩のうちに幹を降り、根元近くの落ち葉に潜り込みます。

 

という訳で、地元で環境整備や保護活動に数年間取り組んでおられる20数名の方々とエノキ根元周辺の落葉を一枚一枚裏返しつつ(越冬幼虫が落葉裏側に止まっているため)、根元から5mほどから探索!

 

ところが、いない!!根元1m近くになってもゼロ!!

いささか皆焦ってきたところ、「いた!いた!」の声。

それから、よくよく根元近くから計20頭以上を発見し、安心しました。

 

成蝶の飛ぶ空間などを伐採整備したので、来年夏が楽しみです。

(※尚この地は「オオムラサキの森」として地区で保護しており、無断入場できません)

 

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エノキ大木の根元周辺の落葉を一枚ずつ探す

 

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葉裏のオオムラサキ幼虫。体長2センチ弱。保護色となり、目立たない。

 

f:id:kuritasadao:20171218104514j:plain翌春4月。越冬からさめた幼虫は摂食を再開し、6月にサナギになり7月初め頃、羽化する。(写真は生態写真集

『オオムラサキ』より)

 

 

 

 

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