自然写真家・栗田貞多男の撮影日記

Sadao kurita Photography Diary


JPS(日本写真家協会)自然写真家・栗田貞多男の信州の四季の撮影記録を綴ります。
(写真の無断使用はかたく禁じます)

八方尾根のギフチョウとヤマギフについて

長野県白馬村の八方尾根は黒菱平(標高約1,600m)から第一ケルン周辺(標高約1,800m)まで、山麓(標高約800m)から連続してギフチョウが生息しています。 山麓での発生は4月中下旬からですが、黒菱平では5月中下旬となります。5月20日頃、黒菱平の半…

白馬山麓のギフチョウ・ヒメギフチョウ交雑個体、撮影

5月15日、長野県白馬村神城にてギフ×ヒメギフチョウの交雑個体を竹ノ内博明氏が撮影されました。 竹ノ内氏はイギリス在住で今回始めて日本産のギフ・ヒメギフチョウの撮影に訪れたとのことで、まさしくビギナーズラックそのもの。おそらく当地成虫の1/100〜…

ギフチョウ・ヒメギフチョウ交尾拒否とスフラギス(交尾後付属物)の形成

両種では交尾後に♂によって♀の交尾口にスフラギス(交尾後付属物)が塗りつけられ塞がれ、二度と♀の交尾が出来なくなるといわれます。 ところが現地での観察では交尾完了後のギフチョウ♀が飛び立った瞬間に、たまたま飛来した別の♂が再びもつれ合って地表に…

ギフチョウ・ヒメギフチョウ、羽化直後の交尾①

ギフチョウ・ヒメギフチョウの交尾は、林縁の低木下枝などで比較的よく目にします。 それらの個体は羽化直後でようやくフラフラと飛び始めた♀を、探雌のため飛翔中の♂が目ざとく見つけ、求愛から半強制的(?)に交尾に至るようです。 羽化直後のギフチョウ♀ …

白馬山麓、なぜギフチョウとヒメギフチョウは混棲するのか?

白馬山麓においてもギフとヒメギフチョウの混棲地はごく限られています。 なぜその地だけに混棲するのか!? その地においてはヒメギフチョウの発生は、通年4月15〜20日頃からです。一方、ギフチョウの発生は10日ほど遅れます。 両種の雑交はその交尾器の…

信州北部。減少するヒメギフ、増加するギフチョウ

約半世紀、50年ほども前。長野県北部の長野市周辺はヒメギフチョウだけの世界でした。 長野市から北へ50キロほどの飯山市黒岩山以北、及び西へ50キロほどの白馬山麓はギフチョウの世界でしたが、長野市周辺は、カンアオイが生育せずヒメギフチョウだけが各地…

アルプスの見えるヒメギフチョウ生息地

白馬山麓オススメ撮影ポイント第一番は、 新田神社のある小山山頂。 はるかに残雪の八方尾根を望み、参道に沿って植えられたオオヤマザクラの花から花へ「春の舞姫」が舞う・・・。 まさに夢のようなシーンが展開します。 4月15日〜20日頃がベストです。 小…

白馬山麓 ギフチョウ・ヒメギフチョウ 発生状況!!

今春の白馬山麓は残雪も少ないものの、吸蜜源のカタクリもまだ咲いていません。 一年ぶりのリュードルフィアの姿も、新田のヒメギフからはじまり、八方のギフ、神城のギフ・ヒメギフ混棲地など続々と姿が見れるでしょう。 4月12日(木)の状況....。 新田の…

【特集】ギフチョウの里 「第10回 / ギフとヒメギフ、どちらが早く羽化!?」

ギフチョウとヒメギフチョウの混棲地としては東北や北信濃の一部などが知られていますが、このような地では、どちらが早く羽化するのでしょうか。 長野県北部、信越県境に位置する混棲地は、豪雪地帯としても知られますが、両種の発生はヒメギフチョウが4月…

【特集】ギフチョウの里 「第8回 / ギフチョウ一年ぶりの再会へ!」

私の住む北信濃はまだヒメギフチョウも少し早く、やむにたまらず新潟や富山のギフチョウ再会へ.....。 長野県からはマイカーにて約2時間、新潟県糸魚川市へ。 日本海にもほど近い里山は常緑の草木も多く、暖地そのもの。 信州には少ないヒメサエリの花も美…

【特集】ギフチョウの里 「第7回 / 今シーズンのリュードルフィア 発生時期は!?」

もちろんリュードルフィア愛好家の皆さんは、いわずものがのテーマにて....。 私の住む信越県境近くは日本でも屈指の豪雪地帯にて、春先になってもその残雪状況や日照などにより両種の羽化出現時期が毎年、異なります。 さて、今春のギフチョウ、ヒメギフチ…

【特集】ギフチョウの里 「第6回 / キクザキイチリンソウとギフチョウ訪花」

キクザキイチリンソウは淡青色の小花を密集する美しいスプリングエフェメラル。 信越県境の小谷村のギフ・ヒメギフ混棲地にも、残雪の北アルプスを見る地にあります。 このいわばベストポイントで、待つこと数時間、付近を飛び回っていたギフチョウが訪花...…

【特集】ギフチョウの里 「第5回 / キブシの花とヒメギフチョウ吸蜜について」

私の住む長野市周辺はヒメギフチョウの生息エリアで、春先に羽化したヒメギフチョウはカタクリやスミレ、それと里山の小木、キブシの花にもよく訪れます。 キブシに訪花したヒメギフチョウは長時間(10秒から数分間)吸蜜した後、飛び立ちますが、そのほとん…

森の宝石・ゼフィルス。越冬卵 名前あてクイズ(3)

春先、里山の陽だまりに越冬明けのスジボソヤマキチョウやミヤマセセリ、コツバメなどが姿を見せる頃、近くの雑木林でゼフィルス越冬卵を探すのは訪れる春を感じる第一歩です。 では、越冬卵の種類あてクイズ3です。 (1) (2) (3) 答えは下へ ・ ・…

森の宝石ゼフィルス。越冬卵 名前あてクイズ(2)

越冬卵探しは、シーズンオフのゼフィリストにとっては、のんびりと里山歩きを楽しみながら夏の余韻にもふれるひとときですが、1本1本の枝を目をこらしながら探しつづけ、そして発見した瞬間の喜びは、寒さも吹き飛ばしてしまいます。 では越冬卵クイズ2で…

森の宝石・ゼフィルス。越冬卵 名前あてクイズ(1)

日本各地の森に生息する美しいシジミチョウ、ミドリシジミ族・ゼフィルスの越冬卵はすべて直径1ミリ足らずで、大きさ・形・産卵されている食樹・産卵位置、産卵数も種ごとに異なり、慣れてくるとその卵を見るだけで種類も判別できます。 では、まず越冬卵の…

冬の森、ぜフィルス(ミドリシジミ族)の越冬卵を求めて Ⅱ

前回は高原のブナ林に生息する、フジミドリシジミをとり上げたので、今回はごく里山に近いメスアカミドリシジミを紹介します。 この越冬卵は日本産ゼフィルスの中で最も大きく美しい一つで卵のひとつで直径1ミリ強。ルーペでのぞくと、おまんじゅう型の表面…

コマクサと高山蝶ミヤマモンキチョウ 本白根山 爆発

長野・群馬県境の本白根山(2171m)が1月23日、水蒸気爆発したニュースはまったく誰も予期しなかったことで大変驚きました。 私も何回か、高山植物のコマクサと高山蝶ミヤマモンキチョウの撮影に登っていますが、爆発の気配などまるでない古い巨大な火口原…

冬の森、小さな生命を宿した宝石たち(ゼフィルス卵 Ⅰ )

晩秋11月から早春3月までの約5ヶ月。蝶愛好家にとっては春からのワンシーズンのフィールドワークも終わりホッとする季節。 一年間の成果など思い出しつつ、標本や資料の整理などを行うひととき。 こんなオフシーズンですが、この季節ならではの楽しみは、ゼ…

国蝶・オオムラサキ 越冬幼虫調査(長野市松代)

一ヶ月近く過ぎてしまいましたが、長野市郊外の松代の里山で、オオムラサキ越冬幼虫の調査を地元の方々主催にて行い、私も参加しました。 期日は11月24日。長野県北部、標高約300メートルのこの地では、ちょうどこの頃直前に一気に寒くなり、オオムラサキ幼…

白馬山麓のギフチョウ・ヒメギフチョウは、約10日遅れか!

今春は、2〜3月の低温のため春の訪れが遅く、例年4月10日頃から舞い始めるヒメギフチョウ(春の舞姫)ギフチョウ(春の女神)も、白馬山麓では4月20日過ぎから岩岳山麓などでようやくヒメギフチョウが見られました。 佐野坂のギフチョウ・ヒメギフチョウ混棲…

鳩山邦夫氏・追悼展「舞姫たちよ、永遠に!」

2017年4月29日(土)〜8月20日(日)まで青木村の信州昆虫資料館にて、鳩山邦夫さんの追悼展「舞姫たちよ、永遠に!」を開催いたします。 別荘のある軽井沢で幼少期より、蝶の採集・調査を続けておられたことにより御縁があり、この度ほど近い青木村にて追悼展を…

ヒメギフチョウ、ようやく初見

4月15日の白馬山麓、ヒメギフ・ギフチョウのロケハンはまだまったく桜は固い蕾状態で、あと1週間位は先になりそう。 しかし、ミヤマアオイの直径1cmほどの新葉は開き始めていました。 (白馬山麓、直径1センチ足らずのミヤマアオイの新葉) 上田市西方の青木…

白馬山麓 フクジュソウに越冬エルタテハ訪花

白馬山麓へ、ギフチョウ・ヒメギフチョウの様子見がてら早春の撮影行。 AM11:00で気温は21度。春の陽気につられてエゾスジグロシロチョウや越冬後のタテハ類が舞いおどり、長かった冬を忘れさせてくれます。 10年以上前に訪れた飯森のザゼンソウ群生地は、ま…

アンズ開花始め。越冬の蝶もようやく飛びはじめました。

ようやく長野市近郊のアンズの花が咲き始めました。 庭のコブシも淡クリーム色につぼみが色づいてきました。 おとといは日中14℃ほどに気温上昇し、郊外の道沿いで越冬後のキチョウ、キタテハ、ヒオドシチョウ(?)を三つも見られてラッキー。 なんとか春の気配…

ギフチョウ・ヒメギフチョウ 飼育まだ羽化せず

地表の古い樹皮内側に蛹化(『ギフチョウの里』より) 例年、今頃には羽化するギフチョウ・ヒメギフチョウが一頭も羽化しません。 考えてみると、今年の長野市の3月の平均気温は3〜5℃ほど低いようで、オオムラサキ越冬幼虫も、じっと葉の裏に止まったまま...…

早春、ヒメギフチョウとカタクリの里を訪ねて

早春の里山歩きは楽しい。 道端のオオイヌノフグリが出迎えてくれる。 落葉を踏みしめて小道をゆくと、越冬明けのスジボソヤマキチョウが林間を縫うように舞い、シータテハやヒオドシチョウが路上で翅を広げている、羽化したてのコツバメやルリシジミ、エゾ…

ギフチョウの里

昨年春発売した「ギフチョウの里」絶賛発売中です! 長野県白馬山麓と姫川谷をメーンに、ギフチョウ族の生活史と混棲の実態を追った、全160ページ(カラー120ページ)の生態写真集です。 HPに詳細が掲載されていますぜひご覧ください。 ご購入希望の方はHPよ…