厳冬・上高地、撮影紀行
真冬の上高地。白銀に輝く穂高連峰、霧氷に覆われる大正池や田代池。清涼な梓川....。数えあげれば、その魅力に限りありません。
しかも近年は安房トンネルの開通により、釜トンネル入口までは年間を通して車輌通行可能なため、日帰りで訪れる写真愛好家やファミリーハイカーも増えました。
これは誰でも上高地の魅力を実感できることで良いことなのですが、反面かつての神秘・神聖な神河内が失われてゆきつつあり、寂しくも思います。
初めて冬の上高地を訪れたのは、40年ほど前。
当時は沢渡から撮影用具一式を小さな引きゾリに固定し、大正池まで6時間以上かけて辿りつきました。
翌朝、大正池はすべてが白く装い、湖面には無数の霧氷の結晶。その清澄な美しに、ひたすらシャッターをきりました....。
近年、温暖化のせいか、そのようなシーンには出会えません。静寂そのもの、いっさいの人の気配もなかった冬の上高地は、もはや出会うことはできません。
大気中の水分が湖上や枝先に付着結氷する